^_^こんにちは!□ましゅまろ□です!
タイトルにあるような症状にお子さんはなっていませんか?
顔がはれる。これだけだと、アレルギーを思い浮かべるかもしれません。
長引く熱。こどもはカゼでも1週間長引くこともありますし、川崎病という病気もあります。
首のリンパ節は溶連菌ではれることも、これも川崎病ではれることもあります。
「顔だけが腫れる」「長引く熱」「首のリンパ節の腫れ」というキーワードで思い浮かべる病気は伝染性単核球症です。
小児科の診療をしていると、年に数人は出会うであう「伝染性単核球症」について解説していきます。

変な病気なのかな、、、
という疑問にお答えしていきます!
Contents
伝染性単核球症とは?
伝染性単核球症というあまり聞きなれない名前でびっくりするかもしれません。
血液の中にリンパ球というものがあるのですが、これが単核なのです。
リンパ球以外の細胞は核がいくつかあったり、なかったり!します。
その単核であるリンパ球のうち、大き目の異型リンパ球がたくさん増えてしまう状態になるのが伝染性単核球症です。
原因はEBウイルス
伝染性なので、うつる病気ですが原因はウイルスです。
EBウイルス(いーびーういるす)といいます。
また聞きなれない名前出てきた、、、
と思われるかもしれませんが、実は大人になるまでにほぼすべての人がかかるんです。
「え?かかった覚えない!」とこれまた思われると思います。
それもそのはず、通常は感染してもほとんど症状らしい症状なく終わります。
出たとしても、微熱とかちょっと咳でるとか、普通のカゼにしかみえない症状しかなかったりするので感染に気付かないことが多いです。
ちょっとした症状しか出ないことが多い一方で、強烈に症状が出てしまったのが伝染性単核球症です。
症状は熱・リンパ節の腫れなど
いろいろな症状がありますが、目に見えてわかる症状は長引く熱と首のリンパ節の腫れです。
熱はかなり長引きます。
1週間以上熱がでることも多いです。
むしろ、1週間以内に治まることのほうが少ないような、、、
2週間前後、というのがひとつの目安だと思いますが、僕がであった患者さんでは1ヵ月熱が続いた子がいました。
さすがに、そこまで熱が続くとみんなぐったりします。
そして、首のリンパ節が腫れます。
リンパ節はワキや足の付け根など、色々な場所にあるのですが、伝染性単核球症の場合は首回りのリンパ節だけ腫れるのが特徴です。
首(あとノドの奥)のリンパ節がはれると、あたかも首をしめられたような状態になるのか、顔全体がはれぼったくなります。
身体がむくむ病気はいくつもあるのですが、顔だけむくむのはよく出会う病気の中ではEBウイルスぐらいに思います。
また同時に、鼻もはれたリンパ節のせいでつまるので、かなり頑固な鼻づまりになります
蓄膿症の人みたいになるので、かなりつらいです。
診断は血液検査
診断は症状であたりをつけていき、典型的なものは見た目でだいたいわかりますが、血液検査も重要です。
いくつかの項目を解説します。
肝臓の数値
肝臓の数値がかなりあがります。
項目としてはASTとALTというものです。
こどもの正常値が50前後までですが、何十~何百となります。
200~300ぐらいはザラです。
さすがに1000を超えてくるとドキドキします。
炎症反応
EBウイルスに限らずですが、炎症反応というものがあがります。
感染症のときにあがる数値です。
項目としては白血球(WBC)とCRPです。
白血球はだいたい10000~15000ぐらいのことが多いです。
CRPは1~5ぐらいが多いと思いますが、それ以上になることも、もちろんあります。
白血球にはさらに細かい分類があり、異型リンパ球もそのひとつです。
血液検査では〇〇%、というように割合で示されており、異型リンパ球(Aty-Lymと表記されてることも)が20%以上だとほぼ確実、10~20%だとかなり怪しい、10%未満だと抗体検査みないとわからないかも、という感じです。
決め手になる抗体検査
一番決め手になるのは抗体検査です。
だいたいは、検査会社に依頼して検査するので数日かかります(4~7日ぐらい)
項目としてはIgM、IgG、EBNA、この3つを調べます(ただし、保険の関係があるので実際は2つまでしか調べないこともあります)
どれも大事ですが、1つだけピックアップするならIgMです。
また機会があれば詳しく別の記事で解説しますが、IgMの意味は「今、感染してますよ!」という項目です。
つまり、IgMの数値が上昇していれば、「今、あなたはEBウイルスに感染してますよ!」という意味になるので一番重要です。
注意すべき血小板と凝固系
伝染性単核球症が超重症になっているかどうかを見極めるのに大事な項目が「血小板」と「凝固系」です。
凝固系は血を固まらせる身体のシステムです。(項目としてはPTやAPTTなど)
EBウイルスに感染して、身体が最悪な状況になると「血球貪食症候群」というものを発症します。
発症する確率はきわめてレアですが、発症しているかどうかを見極めるのは重要です。
血球貪食症候群は、自分の血球(赤血球、白血球、血小板)を自分が食べてしまう、という聞くだけでおそろしい状態です。
血球がたべられてしまい、最初に減りやすいのが血小板です。
また、そこまで激しい状況になっていると、身体のシステムもくるってくるので、凝固系も異常をきたします。
血液検査のときにはこれらもチェックしておくほうが安心です。
治療は体力の維持が目的
EBウイルスを直接たたく薬はありません。
2週間ぐらいずっとしんどいままになる可能性がある病気ですので、体力維持が大事な治療になります。
ある程度体力がもてば、自宅で安静にして水分・食事をとってもらうようにしますが、むずかしくなれば入院のうえ点滴で水分などをおぎないます。
また最初からパシッと診断ができない、診断が難しいケースの場合は、細菌感染と区別できないため抗体検査結果がでるまで抗生剤を念のため使うことがあります。
ただし抗生剤はEBウイルスに効かないので、本当に念のためです。
注意すべき合併症
一番の注意すべき合併症はEBウイルスによる血球貪食症候群です。
どんどん元気がなくなるような状況で高熱が続くときには、血液検査を繰り返し重症化の兆候を見逃さないようにする必要があります。
今回の記事が参考になれば幸いです!
それでは!
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