^_^こんにちは!□ましゅまろ□です!
今回は、新型コロナウイルスが他のインフルエンザなどのウイルスと同時に感染している例があるという論文です。
JAMA(ジャマ)という米国医師会が出している医学雑誌に2020年4月15日でたばかりのレターです。
Rates of Co-infection Between SARS-CoV-2 and Other Respiratory Pathogensというタイトルです。
この論文の結果は、個人的には衝撃でした。
一応、予想してなくはない結果でしたが、新型コロナウイルスの対策をあらためて考えさせられる結果でしたので、どういう点が衝撃だったのかを解説していきます。
後半では、論文の訳をのせます。
え?違うの?
Contents
この論文の結果について
この論文で検討したことは、新型コロナウイルスと、それ以外のウイルス(インフルエンザやRSウイルスなど)を同時にしらべて、それらのウイルスが同時に感染しているのかどうかを調べました。
一般的には、ウイルスというのは同時に複数感染することはなく、1種類だけに感染するというのが普通です。
ですので、たとえばインフルエンザの検査をして陽性にでれば、この患者さんは新型コロナウイルスにはかかっておらず、インフルエンザにかかった患者さんなんだ、と判断すればいいと考えていました。
ところが、この論文では新型コロナウイルス以外(インフルエンザなど)が陽性であった人のうち、7.5%に新型コロナウイルスが認められた、ということでした。
もともとは新型コロナをうたがって検査をした人たちなので、インフルエンザなどにかかっている人全員のうち7.5%というわけではないのですが
「他のウイルスがでても、新型コロナウイルスではない」とは言えなくなってきました。
インフルエンザの患者さんも油断できない
コロナウイルスが広がっている今、肺炎の患者さんがくれば、原因をさぐります。
肺炎球菌などの細菌が関わっているのではないか、インフルエンザやRSウイルスなどがかかわっていないか、調べられるものはすべて調べます。
そして、何か原因がわかれば、それに対して治療をしていくという方針をとっていました。
もちろん、経過が悪ければ、あらためてコロナを疑って検査をする、ということもしますが、一旦は新型コロナウイルスの可能性が低いとみつもっていたのです。
それが全く油断してはいけない、という結果になったのです。
つまり、全員気をつけろということ
つまりは、すべての患者さん(もっていえばすべて人)に対して気を付けるということです。
インフルエンザなどが出たからといって、新型コロナウイルスを否定できません。
医療機関の立場からは、すべての患者にたいして緊張感をもって感染対策にあたり
みなさんは、しんどい期間がずっと続いていますが、自宅にいて感染をもらわないようにしてください!
論文訳
introduction
2020年4月3日までに世界では新型コロナウイルスの感染が97万2303人、5万322人の死者をだしました。
初期の中国からの報告では、新型コロナウイルスとそれ以外の呼吸器感染の病原体と同時に感染をおこすことはめったにないと予想されていた。
これが正しければ、新型コロナウイルス以外のウイルスが証明されれば、新型コロナウイルスを持っている可能性が低いこと示すと思われた。
Method
2020年3月3日から25日まで咳や熱、呼吸困難といった症状のある患者に対して、鼻咽頭スワブで検体を採取して、新型コロナウイルスのその他の呼吸器感染症の原因微生物についてreal-time reverse-transcriptase PCRをおこなった。
またいくつかの施設では新型コロナ以外の病原体のパネル検査(インフルエンザ、RSウイルス、新型以外のコロナウイルス、アデノウイルス、パラインフルエンザウイルス1型~4型ヒトメタニューモウイルス、ライノウイルス、エンテロウイルス、肺炎クラミジア、マイコプラズマ)を同時に検査した。
われわれは、新型コロナウイルスの検査に加え、パネル検査をおこなった施設からの検体をふくめた。
われわれは、新型コロナウイルスとそれ以外の病原体が陽性であった検体の割合を計算し、新型コロナウイルスの感染による状態を階級分けした。割合の違いをカイ二乗検定にて評価
。サブグループの平均年齢を計算し、t検定にて比較した。
Result
1206人の1217の検体について新型コロナウイルスとその他の呼吸器感染病原体について調べた。
1217検体のうち116(9.5%)で新型コロナウイルスが陽性、318(26.1%)で1つ以上のその他の病原体が陽性であった。
新型コロナウイルスが陽性であった116の検体のなかで24検体(20.7%)が1つ以上の別の病原体が陽性であった。
一方、新型コロナウイルスが陰性であった1101検体のうち294(26.7%)は新型コロナ以外の病原体が陽性であった。
もっとも多い共感染はライノウイルス/エンテロウイルスが6.9%、RSウイルスが5.2%、新型以外のコロナウイルスが4.3%であった。P値<0.05とした時、新型コロナウイルスが陽性の検体と陰性の検体を比べたときに、共感染の割合に差はなかった。
1つ以上の新型コロナ以外の微生物が陽性の318検体のうち、24検体(7.5%)では新型コロナウイルスが陽性であり、新型コロナ以外の微生物が陰性の899検体のうち92検体(10.2%)は新型コロナウイルスが陽性であった(difference 2.7%[95% CI ,−1.0% to 6.4%])
これらの結果は、一人の患者から1つの検体を採取したとしても結果にかわりはなかった
共感染している患者の年齢(平均46.9歳)と新型コロナウイルスだけが感染している患者の年齢(平均51.1歳)には有意差がなかった。
Discussion
これらの結果は、新型コロナウイルスと他の病原体が以前に報告されていたよりも共感染している割合が多いことを示唆する。新型コロナウイルス以外の病原体がいたとしても、患者が新型コロナウイルスに感染しているかもしれない。
この研究の限界は、一つの地域であること、サンプルサイズが小さいこと、検査した検体を増やすことに制限があること、ウイルス疫学においての時間的空間的バリエーションである。また新型コロナウイルスの感染を予想する特異的なパターンを決定するには至らなかった。陽性の結果が治療方針を変えないのであれば、この新型コロナウイルスのパンデミックの状態で、新型コロナウイルス以外の病原体をルーチンに調べることは臨床的なメリットがないのかもしれない。
今回の記事が参考になれば幸いです!
それでは!