^_^こんにちは!□ましゅまろ□です!
本日は小児科に受診するのは何歳までか?と言う話題について書いていきます。
小児科に受診するのは何歳までだと思いますか?
何歳からが何かを受診すべきと思いますか?
この話題についてはいくつかのブログで紹介をされていますが、実情も交えて小児科医の立場から記事を書いてみます。
Contents
小児科の受診は15歳(中学卒業)までの病院が多い
小児科の受診は中学校卒業までの15歳までとしている病院が多いと思います。
しかし小児科医が16歳以上の人の診療をしてはいけない、とか内科の先生が14歳以下の人を診れない、と言うわけではありません。
子供でも大人でも1番よくかかる病気は風邪ですし、冬に流行るインフルエンザはどの年齢でもかかります。
風邪やインフルエンザは基本的には小児科でも内科でも診療ができます。
風邪に対する治療が小児科の方が得意かも
しかし、子どもの風邪に関しては小児科受診をおすすめします。
理由のひとつは「抗生剤」にあります。
抗生剤に関して多くの人がよく理解されているようになりましたが抗生剤で治せるのは細菌(バイキン)であり風邪の原因であるウイルスには効果がありません。
風邪に対して抗生剤を出す理由として弱っている体に細菌が感染することがあるからそれを予防するためだと答える人があります
実は細かい話をすると、予防できなくもないのですが実はコスパは非常に非常に悪いです
どれぐらいコスパが悪いかと言えば、4000人に抗生剤を使って重症化を予防できるのはたった1人だけです。
つまり1人を予防するために3999人への無駄な抗生剤が処方されることになります。
悪影響が全くないものであれば、がんばって4000人に処方して1人の重症化を防ぐという考えも成立すると思いますが、副作用を起こす可能性がつきまといます。
1番多いのが下痢(1割前後)、耐性菌と言う抗生剤が効きにくい強力な菌が出現する可能性、アレルギーのある人であれば命に関わるアナフィラキシーを起こす可能性などがあります。
この話のもとになる文献はこちらです。(2007年の文献で英語ですが、興味ある人はどうぞ)
だからこそ抗生剤は気軽にするものではなく、必要な人をしっかり見定めて使う必要があります。
そして、使うべき人にはしっかりと使っていきます。
しかし風邪に対して気軽に抗生剤を出してしまう医者がいるのはうれしくない事実です。
最近はむやみに抗生剤を出す医者はどんどん減ってはいますが、内科の先生と比べると割合として小児科の方が風邪に対する抗生剤の使用は適切なように感じます。
また子供にお薬を飲ませるのも本当に大変です。
苦労して飲ませたのに効果がないばかりか副作用に悩まされると言う事はあってはいけません。
小児科が苦手なのは大人の基本的な病気
一方で小児科が苦手なこともあります。
例えば、大人では当たり前な「高血圧」と言う病気。
小児科では特殊な病気の子を除いて、まず出会う事はありません。
僕も研修医のときにはいろいろな高血圧の薬を勉強しましたが、あまりにも高血圧に出会わないので、今では基本のお薬すらわかりません。
このように大人では当たり前でも子供では当たり前では無い病気は小児科の苦手とするところです。
大人も小児科を受診することができるのか
大人の人も、小児科を一応受診することは可能です。
ただ、単純に恥ずかしいからということもあり、わざわざ受診することもないかとは思います。
子どもの受診がメインだったけど、親も風邪をひいているからついでに診てもらおう!というパターンが一番多いと思います。
小児科の医者でも大人の簡単な風邪やインフルエンザであれば診察することができます。
しかし、診療で大事なのは本当に風邪かどうかと言う診断です。
例えば熱があってしんどいと言うおばあちゃんがいて風邪だろうと思っていたら、実は胆嚢炎だったと言うことがあります。
実際には胆嚢炎であれば腹痛もあるので、風邪と間違える可能性は低いとは思いますが、、、小児科ではあまり出会わない病気です。
何がいいたいかというと、小児科と内科で出会いやすい病気に違いがあるため見つけるのが得意な病気に違いがあるのです。
また小児科だと川崎病という病気はかなり鉄板ですが、内科の先生は最初気づかない方もあるかもしれません。
そうすると熱の患者さんを見たときに、小児科だと分かったが内科の先生だと分からなかった(もちろん逆もあり)ということにもなりかねませんので、基本的には子供は小児科、大人は内科がお勧めです。
大人になった先天性疾患の人は小児科か内科か?
先天的な病気の場合は少し話がややこしいです。
先天的な病気で専門性がとくに高いものの場合、小児科の中でも一部の専門家しか治療法を知らないものもあり、そうなると内科の先生は病名すら知らないというものも存在します。
そうすると、15歳をこえても内科での受診は難しく小児科でカバーしていくという方々がおられます。
しかし、小児科をやっていると、先天的な病気でも40歳、50歳になる方もあり、そこまで来ると、さきほどあげた高血圧のような小児科でなじみないけど大人では当たり前の病気がでてきます。
大人の病気がでてくると、小児科知識だけでは太刀打ちできず患者さんに十分なクオリティの医療を提供できなくなります。
ここで移行期医療という分野が最近話題になっています。
おおまかには、専門性がつよすぎる疾患では小児科医が頑張ってずっと診察をし、内科の先生もみてもらえるような病気であれば徐々に内科に移行し、小児科・内科両方の知識が必要な病気であれば両方とも受診していくという3つの方法です。
どれが適切かは、その病気や患者さんのおかれている状況によって全くかわってくるので主治医とよく相談しなければなりません。
今回は少し固い話もはいりましたね💦
この記事が参考になれば幸いです。
それでは!
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