入院でみる病気

川崎病、血液検査で分かることは?診断はできないが状態は分かる

今回は、川崎病で血液検査をしたときにみるべきポイントなどについて解説していきます。

川崎病の概要についてのページも合わせて読んでいただけると幸いです。

川崎病を疑った時には、各種検査を行いますが、血液検査は何回も行う検査ですので、見るべきポイントをおさえておく必要があります。

血液検査したけど、どこがポイント?
これで川崎病は分かるの?
これは悪いの?良いの?

こういった疑問にお答えしていきます。

それでははじめます。

Contents

血液検査で川崎病は診断できない

別記事(川崎病はどんな病気?症状や原因、後遺症について解説します)にも記載しましたが、検査で川崎病の診断は基本的にはできません

川崎病は

1.発熱
2.目の充血
3.唇・舌・のどが赤くなる
4.発疹(BCG部位発赤含む)
5.手足が腫れる・赤くなる
6.首のリンパ節がはれる

という6つの症状で診断していきます。

症状で診断していきますので、極めて稀なケースをのぞき、いくら血液検査が悪くても川崎病と診断することはできません。

 

なぜ血液検査をするのか?

血液検査で川崎病の診断が基本的にできないのに、なぜ検査をするのでしょうか?

それは、血液検査をすることで川崎病の状態を評価することができるからです。

川崎病でよく変化する項目があるので、その異常があれば川崎病かも?と疑うことができますし、重症の川崎病になるかという予想にも疲れます。

いずれにしても、川崎病で血液検査は必須になります。

また、血液検査結果もかわっていくので、状態にあわせて何度も検査をしていく必要があります。

血液検査でみる項目

それでは、順番にどんな検査項目があるのか、どういうことが分かるのか、ということを解説していきます。

炎症反応(白血球・CRP)

炎症反応というのは、身体でおこっている川崎病という火事の状態をあらわしています

川崎病では、多くの場合上昇していることが多いです。

細菌による感染症でもあがるので、炎症反応だけでは川崎病か細菌感染症かはわかりにくいです

川崎病で、そんなに数値があがらないことも稀にありますが、完全に正常ということはほぼありません

血沈

血沈も、身体におこっている炎症という火事の程度を表しています。

ある検査細い管をつかって、どれぐらい血液が沈むかを調べます。

1時間値、2時間値、という2つの数値をみます。

年齢・性別で違いますが、正常では1時間値は10未満、2時間値でだいたい15未満のことが多いです。

何らかの感染症にかかっても10~30ぐらいのことが多いですが、川崎病の場合は血沈は跳ねあがり、80や90、100以上のこともあります。

爆発的に高くなる病気は小児科の中では川崎病以外そんなにないのでかなり目安になります。

肝機能(T-bil、AST、ALT)

川崎病の重症タイプで上昇します。

T-bilはビリルビン、黄疸の数値です。

川崎病でも数値が全く正常のこともあります。

肝機能の数値が正常でも結果的に重症なこともあるので、熱が十分下がるまでは注意です。

アルブミン(Alb)

アルブミンはタンパク質の一種です。

川崎病は血管炎という血管に火事がおこって、血管にダメージがおこる病気ですが、血管にダメージがあるとタンパク質の保持が難しくなり、タンパクが血液から外に漏れ出てきます。

タンパクの血管外漏出といいます。

アルブミンが影響を受けやすいので数値がさがってきます。

ただし、点滴をすることで血液が薄まるとアルブミン値も下がることがあります。

うすまっただけか、川崎病で下がっているのかは区別が難しいです。

ナトリウム(Na)

ナトリウムとは塩分の数値です。

川崎病で、下がる傾向があり、特に重症度が高いとよく下がります。

BNP

BNPは心不全の程度を示す数値です。

心臓に負担がかかっている数値がBNPと思ってください。

子どもの病気で心臓に負担がかかるようなものは、かなり少ないので、川崎病が怪しい状況でBNPが上がっているとすると、川崎病の可能性が高いかもしれません。

川崎病の高リスク群とは?

川崎病の重症度をみるために、いろいろなスコアが検討されています。

私自身が、よく参考にしているのは群馬スコア(小林スコア)です。

診断日 発症4日目以内 2点
月齢 生後12ヵ月以内 1点
好中球比率
(Neut)
80%以上 2点
血小板数
(plt)
30万/μL以下 1点
ナトリウム 133mEq/L以下 2点
AST 100  IU/L以上 2点
CRP 10mg/dL以上 1点

 

これらの点数を合計して5点以上は高リスク群です。

治療を行っても、なかなか効果がなかったり、冠動脈瘤をつくるリスクが高い患者ですので、特に注意深く診療にあたる必要があります。

 

 

本日は以上です!

今回の記事が参考になれば幸いです!

それでは!

Photo by MI PHAM on Unsplash

ABOUT ME
□ましゅまろ□
関西で小児科をしている□ましゅまろ□です。歴は10年こえました。病気のお子さんを、大変で忙しいなか通院されているご家族をみて、情報があれば自宅で休めたのに、、、というところから、情報発信することにしました。少しでもお役にたてたら幸いです。