本日はインフルエンザ脳症について書いていきたいと思います
インフルエンザ脳症はご存知でしょうか?
インフルエンザ脳症とはインフルエンザが原因で脳にダメージが加わる病気です。
インフルエンザ脳症はとても恐ろしい病気で亡くなる人も多く、助かったとしても後遺症残すことが多いです。
特に今シーズンはインフルエンザ脳症の報告が例年より多い印象があります。
小6女児がインフルエンザ脳症で死亡 長野
富山県東部の11歳男子児童 インフルエンザ脳症で死亡
インフルエンザ脳症は発症する確率は低いものですが、発症してしまった場合は少しでも早く治療に移る必要がありますので注意が必要です。
インフルエンザ脳症とはどういったものなのか、どういった症状があるのか、どういうことに注意すれば良いのか、ということについて解説をしたいと思います
Contents
インフルエンザ脳症とは
「痙攣や意識障害を起こす病気」
インフルエンザ脳症とは痙攣や意識障害を起こします
痙攣とはありえないぐらいの力が腕や足に入って、ガクガクとする症状のことです。
区別が難しいものとして、いわゆる寒気があり寒気の場合は震えてはいますがそこまで力は入っていません。
インフルエンザ脳症の場合はほとんどの方で痙攣を起こし、しかも痙攣が非常に長いのが特徴です
小児科でよくあるのが熱性痙攣と呼ばれるものです。
熱性痙攣も痙攣を起こしますが、多くの場合は数分以内におさまりその後の意識の回復も速やかです。
インフルエンザ脳症の場合は痙攣が30分1時間は2時間以上続くこともあり、痙攣止めの薬などを使用して痙攣を止めたとしてもその後の意識が戻りが悪く目を覚めないということがあります。
長い痙攣(痙攣重積)や意識障害がインフルエンザ脳症の診断につながります。
インフルエンザ脳症の診断
脳症の主症状が痙攣と意識障害なので、それらがあることで診断に結びつきます。
また色々な検査でも変化がでてくるので、いろいろ評価をしていきます。
血液検査
血液検査では、たとえば以下のような変化があります。
・肝臓の数値の異常
・LDH上昇
・凝固系(血を固まらせるシステム)の異常
肝臓の数値は非常に大事です。
これは、肝臓自体が悪いわけではなく(いや、実際には悪いかもしれませんが)インフルエンザ脳症のような超がつく重篤疾患のときには肝臓の数値があがります。
高サイトカイン血症という、身体の免疫システムの暴走によるもので、インフルエンザ脳症でひきおこります。
LDHという数値も同じです。
また、そのような体の異常がおきると、いろんなところに影響を及ぼし、その一つが凝固系(血を固まらせるシステム)への異常です。
PTとかAPTTとかの数値があります。大事なチェックポイントです。
頭部画像検査
画像検査で確認したいことは、
・脳が腫れていないか
・脳に炎症があるのか
の2点です。
脳症のタイプに脳がどんどん腫れるおそろしいタイプがあり、発症すると一晩もたずに亡くなってしまうこともあります。
腫れているかどうかは、CTでもMRIでも分かります。
脳に炎症があるかどうかは、MRIのDWIという撮りかたで白く光っているかどうかで確認します。
脳波検査
脳波は脳の神経細胞の電気活動をとらえます。
正常であれば、脳の神経細胞は活発にうごいているので細かい波であらわれますが、脳症のように脳にダメージがあると脳神経細胞の活動はなくなっていき細かい波がなくなります(徐波化といいます)
治療法
インフルエンザ脳症の治療の基本はステロイドパルス療法です。
ステロイドパルス療法で過剰な炎症をおさえていきます。
その他の治療としては、脳が腫れていたらむくみをとるお薬をつかったりいくつか補助的なお薬はあります。
一番はステロイドパルスをいかに早くいけるかです。
そのうえで、脳症の影響で呼吸が不安定になったり、血圧が不安定になったりすることがあるので、人工呼吸をおこなったり血圧維持をおこなったりしていきます。
インフルエンザ脳症の予防
予防に一番よいのはなんといっても予防接種です。
予防接種でどれだけ脳症を予防できるかということまでの論文は見つけきれませんでしたが、インフルエンザ自体の発症を60%おさえることができたというデータがあり
インフルエンザの発生数が下がれば、脳症の発症数もさがりますので、積極的にインフルエンザの予防接種はうけていきましょう!
というわけで、おろそしいインフルエンザ脳症、意識がわるい、痙攣が起こったなどがあればすぐさま病院を受診してください。
この記事がお役にたてると幸いです!
それでは!
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