病気の解説

脱水のときにみる検査データは?血液検査とおしっこの検査について

脱水は大人でもなりますが、子どもは特になりやすいものです。

子どもの身体は大人とくらべて水分の割合が多いわりに、余裕が少ないために脱水のリスクがあるのです。

腸炎で食べれない飲めないのに、吐いてしまうという状況があれば脱水になります。

脱水になって点滴を受ける時に血液検査や尿検査も受けることがありますが、どこで脱水をみていると思いますか?

チェックしているポイント、どれぐらいの数値で重症かどうかを判断しているかについて解説していきます。

検査項目いっぱいあって、どれを見たらいいの?

という疑問にお答えしていきます!

 

Contents

検査項目の注目している順

みる検査項目は、のちに色々書いていきますが、個人的によく見ている順について解説します。

この部分は個人的意見が強い部分です。

あと、単に注目する順であるというだけでで、実際にはすべて確認しています。

尿検査で注目していくのは

比重

ケトン

血液検査がすべて出たら、注目していくのは

BUN

Na

TP・Alb

Hb

それぞれ順番にみていきます

 

脱水でみる尿(おしっこ)検査項目

小児だと、おしっこをとることそのものが難しいことが多いです。

1歳の子にトイレでしようと言っても無理なので💦

ただ、検査ができると脱水かどうかの評価がすぐにできるので便利です。

確認するのは比重とケトンです。

 

比重

比重とはいわゆるおしっこの濃さです。

数値が高ければ高いほどおしっこが濃いので脱水の可能性があります。

どまんなかの正常は1.010~1.020ぐらいです。

元気な人でも、その日の飲む水分が少なかったりすると高めにでます。

1.030超えてくると脱水かも?と考えていき、1.035超えてくるとけっこう脱水だな、ととらえるようにしています。

 

ケトン

ケトン自体は水分不足をみているものではありません。

食べれなくなってエネルギー不足になった時にでてくるのがケトンです。

ですので、脱水とケトンは違うものなのですが、脱水になる人はたいがいエネルギー不足になっているので間接的に脱水があるかも、とみていくのです。

尿検査では(-)(+)(2+)(3+)(4+)の5段階でみられるケースが多いです。

(+)ぐらいならだいたい大丈夫。

(2+)も大丈夫かもしれませんが、水分をとれる予想がつかなかったら点滴するか悩む

(3+)はその時点でジュース飲めなかったら点滴コース

(4+)は基本的に点滴をおすすめする

というような感じで考えてます。

同じ数値でも患者さんの状態でもちろん臨機応変に変えています。

自分で飲めるぐらいの体力が残っているかどうか、がポイントになります。

 

脱水でみる血液検査項目

さっきは尿検査の項目でしたが、つぎは血液検査です。

脱水かも?と考えて血液検査しているぐらいなので、点滴治療を受けているケースが多いと思います。

さらに追加で点滴がいるのか、入院を意識するレベルなのか、という観点で数値を確認していっています。

 

BUN(尿素窒素)とCre(クレアチニン)

脱水の時に一番動きやすいのがBUNです

基準値は1歳以下だと、15ぐらいまで、それ以上だと20ぐらいが上限です。

BUN 20をこえてくると脱水と考えます

BUNが30をこえることは小児ではほとんどありませんが、25以上だと入院を意識するぐらいの高さになります。

Cre(クレアチニン)も脱水の時にあがりますが、かなりひどめの脱水になるまでは変化はあまりありません。

クレアチニンについては別ページで解説しています→血液検査で子どものCreが低い?クレアチニンって何?

 

Na(ナトリウム・塩分)

いわゆる塩分の数値です。

これ自体は、脱水かどうかを示すものではありませんが、脱水の種類を決めるのに重要です。

また、脱水がひどい時ほど数値が動きやすいので参考になります。

脱水の種類によってNaは高くなることもあれば、低くなることもあるのですが、子どものよく出会う脱水ではNaは低くなることが多いです。

Naが低い時には塩分も一緒にたりなくなっているので、点滴は塩分多めのものにする必要があります。

 

Alb(アルブミン)とTP(総蛋白)

AlbもTPもタンパク質のことです。

TPは総蛋白、つまり血液の中にあるタンパク質のすべてをあらわし、Albはアルブミンというタンパク質の一部を示します。

どちらも、脱水になると濃くなるので数値があがります

Albの方があがりやすいです。

正常値は大人とほぼ一緒で、正常上限をこえているとけっこう脱水がひどいんだな、と考えます。

 

Hb(ヘモグロビン)

ヘモグロビンは鉄分を含む身体の成分で、数字が低い時には貧血と言われる項目です。

これも、脱水で濃くなることで数値があがります

Hbは大人と比べて、子どもはもともと低めの値ですので、大人の正常上限に近づいているだけで脱水を考えます。

年齢によってかわりますが、Hbがだいたい14をこえると高いので脱水を考えます

細かい数値が気になるひとはこちら→小児科学レクチャー 子どもの基準値 Hb(ヘモグロビン)

 

異常があった場合は?

異常値があった場合は脱水が強いと考えます。

さきほど示したように、いろんな項目で脱水をみますので、項目1つだけよりも、いくつか異常値があるほうが脱水の程度がひどいことが多いです。

数字があまりにもひどかったり、いくつかの項目が異常であれば入院治療を前提に考えます。

脱水がそれなりにひどくても点滴を1本受けるだけで元気になって自宅で過ごせるぐらいに回復する子もいますのでケースバイケースですが。

あまりにも異常値が多い時に無理をしてしまうと、結果的に長引くので注意です

 

 

今回の記事が参考になれば幸いです!

それでは!

 

Image by Sven Lachmann from Pixabay

ABOUT ME
□ましゅまろ□
関西で小児科をしている□ましゅまろ□です。歴は10年こえました。病気のお子さんを、大変で忙しいなか通院されているご家族をみて、情報があれば自宅で休めたのに、、、というところから、情報発信することにしました。少しでもお役にたてたら幸いです。