^_^こんにちは!□ましゅまろ□です!
本日は、尿検査(おしっこの検査)の全般的なお話を書いていきたいと思います。
幼稚園、学校での健診と、必ず1回以上は受けている尿検査。
クリニックによっては、一定以上の年齢の子には受診したら必ず尿検査をするところもあります。
赤ちゃんの場合は尿をとること自体がハードル高いものの、痛くもなく基本的にはサクッとできる検査です。
とは、言うものの、異常がでた時に、「結局これはどういうこと?」と終ってしまう検査でもあると思います。
何も言われなかったから大丈夫だろうけど、、、と何となく不安になっている人の疑問解決になれば幸いです。

潜血とかケトンとかいろいろだけど、、、
という疑問にお答えしていきます!
Contents
尿検査で調べる病気とは?
子どもと大人では最初に思い浮かべる病気に違いがありますので、特に小児科視点でお伝えしていきます。
尿検査で調べる病気(状態)で考えるべきものは
良性家族性血尿
ナットクラッカー現象
体位性タンパク尿・熱性タンパク尿
ネフローゼ症候群
尿路感染症
腎炎
糖尿病(特に1型)
このあたりにまとめられると思います。
尿検査の項目別に解説していき、どの項目がどれだけ異常であったら病気を考えていくのかを順に説明していきます。
項目別解説
比重
いわゆる濃さのことです。
シビアめにみた基準値は1.010~1.020で、1.030こえたら濃いめ、1.035以上でかなり濃い、といえます。
尿が濃いということは水分量が足りていないことを示していますので、脱水ということです。
ちなみに、いわゆる脱水までいかなくても一日の間飲むのを我慢していたり、寝ている間は水分はとれないので朝イチの尿、などは濃いめにでます。
別の記事でも同様の解説しています→脱水のときにみる検査データは?血液検査とおしっこの検査について
ケトン
炭水化物のように、身体にとってはエネルギーのひとつですが、本来は尿にはでてきません。
脂肪を材料にしてでくるものですが、通常であれば炭水化物からのエネルギーで十分たりるので、腸炎などになって食べれなくなりエネルギー不足になった時になんとかしぼりだして出てくるエネルギー源です。
ですので、ケトンそのものは大事なものですが、ケトンが出てしまうような状況はエネルギー不足であり良くありません。
比重の項目と同じように別記事でも紹介しています。
→脱水のときにみる検査データは?血液検査とおしっこの検査について
潜血
字のとおりで、目に見えるほどはハッキリしていないけれども、調べるとわずかに潜んでいるぐらいの血があるということです。
大人で血がまじると言えば、尿管結石や腎臓がんがでてきます。
子どもでも尿管結石や腎臓がんはありえますが、可能性はかなり低いです。
頻度で一番多いのは病気でもなんでもない、体調がわるい時にでてくる潜血です。
あと、良性家族性血尿も多いです。
問診すると、家族の誰かも何度検査しても潜血あるといわれるが何十年も元気、ということから推察します。
しかし、良性家族性血尿と思っていたら違う病気だった!というのがアルポート症候群というものです。
若くして難聴や腎障害があるという潜血の人があればアルポート症候群も念のため考えないといけないです。
あとは腎炎症候群の可能性がありますが、潜血単独では可能性は非常に低いです。
潜血+タンパクがずっとでていると腎炎の可能性が高いです。
腎炎に関してはタンパクの項目で解説します。
原因不明の腹痛がある場合に考えないといけないのがナットクラッカー現象です。
文章で説明するのは難しいですが、おなかの中には腸や血管がうじゃうじゃしているのですが、腎臓の血管がはさまれてしまい、腎臓がうっ血してしまう状態になり潜血がでる病気です。
腎臓の血管が圧迫されているところから、まわりめぐり腹痛になります。
おなかのエコーで腎臓の血管をチェックします。
タンパク
出続けていた場合、一番イヤなのがタンパクです。
一番、腎臓の病気である可能性が高いです。
一時的なものとしては多いのが、体位性タンパクや熱性タンパクです。
体位性タンパクは運動したりした時にでてしまうタンパクで、熱性タンパクは発熱を伴う病気になっていて身体がつかれているがために出てくるタンパクです。
つまり、病気を示しているのではなく、体調が悪いからでているタンパクなので一時的なものです。
夜更かしも尿蛋白がでる原因になります。
尿タンパクが多量で、かつ血液検査で、タンパク成分が減っている場合にはネフローゼ症候群というものを考えます。
タンパクが腎臓からだだ漏れ状態の病気です。
経過観察をしていても、タンパクがまったく消えない場合は、「腎炎」を考えなくてはいけません。
腎炎の細かい区分はいくつもあり、重症度も様々ですが、一言でいうなら腎炎は腎臓が日々ダメージを受け続けて若いうちに腎臓がダメになってしまう病気、のことです。
腎臓がダメになる、いわゆる腎不全になると透析をうけなければ3日もたず死んでしまうという激しい状態になります。
尿タンパクだけでも考えますが、尿タンパク+尿潜血は腎炎の可能性が高いです。
ただし、体調が悪い時には尿タンパクも尿潜血もでることがあるので、他の症状や検査結果が腎炎のはっきりと示しているのでなければ、まずは1ヵ月ごとに尿検査を行いながら状態を確認します。
どれだけ尿タンパクが軽くても、6ヵ月以上続いているなら腎生検という腎臓の一部を身体のそとから太い針を刺して採取する検査をしなくてはいけません。
尿蛋白が良くならないのであれば、通院は絶対に中断しないでください。
とはいうものの、健診で尿タンパクがひっかかる人の9割以上は、経過観察中に正常化するので基本的には大丈夫です。
ブドウ糖
尿の中に、糖分であるブドウ糖は通常でてきません。
ブドウ糖がでてしまった場合でも、病気でないこともあり、甘いものを食べた直後、点滴中、などには出てしまうことがあります。
考える病気は糖尿病です。
「子どもで糖尿病あるの?」と思われる方もあるかもしれません。
大人の人でイメージする、暴飲暴食&運動不足でなる糖尿病は子どもでは、いますが少ないです。
(不摂生だけではなく、頑張っていてもなってしまう人はいます)
むしろ1型糖尿病という免疫の異常でおこってしまう病気があります。
発症してすぐには症状はあまりなく(あるのですが病院の受診までいかないことが多い)気がつけば大変なことになっている病気です。
本格的なところまでいってもほおっておくと1週間も命がもたないです。
尿糖が出た時には、「本当に糖尿病ではないのか?」とチェックする必要があります。
白血球
ウイルスや細菌を倒すためにでてくるのが白血球です。
尿の中にでてくるということは、尿の流れ道のどこかに感染を起こしている可能性を考えます。
いわゆる尿路感染です。
感染するところは膀胱か腎臓です。
膀胱に感染したら膀胱炎という名前になりますが、こちらは頻尿になったり、おしっこする時に痛いなど、困る症状はあるものの尿で菌を洗い流せば数日でおさまります。
なかなか治まらない時は検査が必要です。
腎臓に感染していると熱も出てきますし、けっこう重篤で、腎盂腎炎という名前になります。
小児の場合は基本は入院での治療で、標準的には1週間の抗生剤治療を行います。
特に年齢が小さい子の場合は、腎盂腎炎になる原因として逆流症という尿が逆流して感染を起こしてしまうという病気が隠れていることがあるので検査をすすめていきます。
まとめ
尿検査では、意外といろんなことが分かります。
普段は脱水かどうかをみることの目的が多いと思いますが、健診の時は今日書いたようなことを考えながら診療をしています。
難しい点もあると思いますので、疑問点があれば問い合わせをポチリとしてください。
今日の記事が参考になれば幸いです!
それでは!
Photo by Emily Silverstein on Unsplash